真心を込めて老人を看病した男が得た報酬
中国で、12年間独居老人の介護に尽くしたヘルパーに、老人が全財産である5つのマンションを譲り渡して亡くなったというニュースが話題になっています。
2024年5月10日、中国の裁判所は、12年間老人に誠実に仕えたヘルパーに対し、数億円相当の老人の財産を譲渡するよう判決を下しました。
ルアンさんが将棋を指している様子 |
ルアン(阮)とリュウ(劉)の絆:孤独な老人と献身的な介護人の物語
1930年に中国北京で生まれたルアンは、幼い頃に両親を亡くし、結婚せず生涯独身を貫きました。しかし、年齢を重ねるにつれて自力で生活することが困難になり、村の委員会に介護人を依頼することになりました。
委員会は、村で評判の良かったリュウという若者を推薦し、二人の縁が始まりました。
リュウは、ルアンの介護をより容易にするために、自分の家族をルアンの家に移住させるほど献身的に彼を支えました。
家族みんなでルアンさんの誕生日を祝っている |
リュウの孫たちもルアンの足を洗ってくれたり、誕生日を一緒に祝ったりして、本当の家族のように接し、共に時間を過ごしました。
リュウは日を追うごとに弱っていくルアンの姿を見て、ルアンが亡くなる前に兄弟たちに会わせてあげようと探しに出ましたが、ルアンの兄弟たちは最後までルアンが亡くなる前に訪ねてくることはありませんでした。
ルアンに突然舞い込んだ巨額の財産
2023年10月、ルアンは所有する土地が不動産開発区域に含まれることとなり、自宅の立ち退きと引き換えに5つのマンションを受け取る権利を得ました。時価換算すると、数億円相当の金額です。
この巨額の財産を、ルアンはリュウに譲渡するという遺書を残して、7ヶ月後に93歳でこの世を去りました。
ルアンの遺産をめぐるルアンの兄弟との争い
ルアンさんが亡くなり、生前の約束通りリュウさんが遺産を相続しようとしたところ、ルアンさんの兄弟たちが遺産返還を求めて訴訟を起こしました。
裁判では、村人たちがリュウの真摯な介護について次々と証言しました。
ある村人は、「リュウさんは体調不良のルアンさんのために自費で酸素吸入器を5台も設置し、10年以上にわたって毎日朝に卵を茹で、朝食のメニューを粥、麺類、肉じゃがなど頻繁に変えてくれた」と証言しました。
村人たちの証言に加え、ルアンさんの生前に兄弟たちがほとんど訪ねてこなかった事実を踏まえ、裁判所はリュウに有利な判決を下しました。
リュウさんは最終的にルアンさんの全財産を相続することになりました。
この判決は、「善行が正しく報われた結果」として大きな反響を呼びました。
人々は、「リュウさんは最初から財産目当てではなく、誠実にルアンさんを看病していたので、その報いを受けたのは当然である(当時、ルアンさんの土地は再開発区域ではなかったため、土地の価値は高くなかったと言われています。そもそもリュウさんは契約当初、ルアンさんが土地を持っていることさえ知らなかったそうです)」、「12年間誰かを看病することは家族にとっても簡単ではない、素晴らしい」、「リュウさんは遺産を受け継ぐに値する」などの反応を示し、裁判所の判断に賛同しました。
判決主文
中国最高人民法院の判決主文 |
北京市順義区で一人暮らしをしていたルアンさんは、生涯独身を貫き、子供もいませんでした。2011年、ルアンさんは村人のリュウ・モウジュンさんと「養老契約」を結びました。この契約では、リュウ・モウジュンさんがルアンさんの生計を支え、代わりにルアンさんの財産を相続することになっています。
リュウさんの孫がルアンさんの足を洗ってあげている |
ルアンさんは所有していた土地が再開発対象地域に含まれたことで、補償金として5つの住宅を取得しました。しかし、不幸なことに、ルアンさんは2023年に病気で亡くなり、この財産をリュウ・モウジュンさんに残します。
裁判所は、この事件を審理する中で、証言と現場調査を通して、リュウ・モウジュンさんが実際に養育者の責任を果たし、ルアンさんの老後の生活が幸せだったことを確認しました。その結果、順義区法院は「養老契約」の有効性を認め、リュウ・モウジュンさんがすべての不動産を相続することを判決しました。
多くのことを考えさせる今回の物語
血縁関係のないルアンさんとリュウさんは、12年間という長い年月をかけて、家族のように互いを大切に守り、深い絆を築き上げました。この心温まる物語は、血縁よりも真心で結ばれた絆の方がより重要であることを示唆しているのではないでしょうか?
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